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第2回 親が亡くなった後の不動産相続の流れ

不動産相続に関する手続きに関する準備は、四十九日法要(仏教で命日から数えて49日目に行う法事のこと)までに行うのが一般的です。

 

今回のブログでは、一般的な不動産相続の流れについて、ご説明します。

 

 

〈1〉相続人の確認

まずは、民法で規定されている法定相続人を確認します。

 

それには 被相続人(亡くなった人)の出生から死亡までの戸籍謄本 と、相続人(配偶者、子供)全員の現在の戸籍子供がいない場合は被相続人の両親の出生から死亡までの戸籍 の準備が必要です。

 

 

 

 

配偶者は常に相続人になります。(民法890条)

 

血族相続人は上位の順位の者が一人でも存在する場合、下位の順位の者は相続人となりません。(民法887条、889条)

  第一順位  子(養子、非嫡出子、胎児を含む)またはその代襲相続人

  第二順位  直系尊属(被相続人の父母や祖父母のこと)

  第三順位  兄弟姉妹  またはその代襲者

  

被相続人の子供が生存していたら、相続人は、配偶者と子 となり、被相続人の子供が複数いたら、等分割します。

 

 

 

といった感じで、基本的には、法定相続人が法定相続分(民法で決まっている財産の相続割合)に従って相続します。

 

 

 

 

 

 

〈2〉遺言書の確認

次に遺言書を確認します。

 

民法で規定されている法定相続分で相続が決まるというのは、遺言書がない場合の話です。

 

遺言書があった場合、原則として遺言書に従い相続を行うことになります。

 

 

 

 

遺言書があると、相続をスムーズに進めることができたり、相続による親族トラブルを防止できる場合があります。被相続人は、自分の死後に実現したい意思を遺言書の書面に残しておくことで、それを実現することができます。

 

 

ですがこの遺言書というのは、ただ書き残してあれば良いわけではありません。法的な効力をもつ遺言書の形式で残さなくては有効にはなりません。

法的効力をもつ遺言書の種類は3つあります。その特徴を簡単に説明しておきます。

 

 

 


自筆証書遺言(民法968条)

 

遺言者が遺言の全文・日付・氏名を自書し、これに押印することによって成立する遺言。

原則自筆で作成を行います。

自宅で保管した場合は、開封時は家庭裁判所で検認が必要ですが、2020年から始まった自筆証書遺言保管制度を利用して法務局で保管してあると、検認は不要です。

ただし、パソコンで作成したもの、日付が無いもの、間違った訂正をしたもの、内容が特定できないものは全て無効となりますので注意が必要です。認知症などで判断能力がないまま作成されてしまうと、相続人の間で争いになることもあります。

 

 

公正証書遺言(民法969条)

 

公証役場の公証人によって所定の方式に従って作成された遺言をいいます。最も確実な遺言書といえます。

2人の証人立ち合いで作成され、公証人役場で保管されます。公正証書作成費用は発生しますが、内容不備、遺言能力の確認、保管面で確実性の高い遺言です。また、遺言者が亡くなった後の家庭裁判所での遺言の検認手続きが不要になります。

作成にかかる費用は、相続させる財産により変わります。

 

 

秘密証書遺言(民法970条)

 

相続開始まで内容を公開せず、秘密にしておく遺言書のことです。

遺言者が遺言書に署名押印のうえ封印し、その封紙に公証人が所定の記載をし、2人の証人が立ち合い署名押印することで成立します。公証人と2人の証人が遺言の存在のみを証明してくれます。遺言書の保管は遺言者が行い、内容はノーチェックなので、遺言書を開いたら要件を満たしていない可能性があります。代筆やパソコンもOK。ただし自筆による署名は必要です。

自筆証書遺言と同じで、勝手に開封してはいけません。開封時に家庭裁判所の検認手続きが必要です。


 

 

自筆証書遺言や秘密証書遺言など、被相続人の手元で保管している場合もありますので、まずは遺品の中に遺言書があるか探します。もしかすると相続人の中で遺言書の存在を知っている人がいるかもしれませんので、相続人で知っている人を確認しましょう。相続人で遺言書が存在することを知っていたにもかかわらず遺言書の存在を隠した場合は、相続権がなくなることもあります。(民法891条)

 

 

 

 

 

遺言書が見つかったとしても、開封してはいけません。家庭裁判所において、相続人立ち合いの下で開封することになっています。勝手に開封すると法律違反です。

 

 

 

 

 

〈3〉相続する財産、遺産を調査

次に、被相続人(亡くなった人)の遺産、財産がどのくらいあるかを調査します。

 

被相続人が亡くなる前に財産をまとめていたり、相続人が相続財産を詳細に把握している場合はほとんど無いようですので、探し出す作業が必要です。

 

 

 

相続財産の主なものは、不動産と預貯金です。

封筒やハガキは調査の重要な手がかりとなるので、そのあたりから始めていきます。

 

遺品の中から、金融機関の通帳やキャッシュカード、証券会社や信託銀行からの郵便物、株式、生命保険や損害保険、車両、市役所から届いた固定資産税の通知書、借地権利や借家権などを探します。金融機関や支店名がわかったら、相続人が問合せして確認しましょう。

 

 

 

預貯金などのプラス財産だけだといいですが、調査しておくべき遺産には借金やローンなどのマイナス財産も含まれます。

様々な可能性を考えてこの段階でしっかり調査しておくことが必要です。

 

 

 

遺産、財産がすべて出揃ったら、遺産目録を作ってまとめておくといいです。

 

  

 

 

 

相続財産のうち、不動産相続に関する確認に必要な書類はこちらです。

 

 

固定資産納税通知書

   毎年、4月上旬に市町村から送られてくるもの。

 

登記識別情報

   権利証、権利書と呼ばれたりもします。通常は、登記後1~2週間のうちに送られてきて、再発行は不可。

 

登記簿謄本(登記事項証明書)

    管轄の法務局で入手することができますし、法務局によってはオンラインで請求することもできます。

 

 

 

 

 

 

 

〈4〉遺産評価

相続財産が確定したら、次は相続財産の価値を評価(遺産評価)をします。遺産分割の対象となるものの価値を評価する必要があります。 

 

遺産分割時に不動産の評価は非常に重要になります。

 

預貯金などのように平等に分割ができるものだけだといいのですが、不動産の場合は平等に分割することができないのでトラブルになってしまうケースが発生するのです。

 

例えば、山林など不動産取引がほとんどない場所での不動産価値は低くなりますが、住宅地や駅近くの商業地では不動産価値が高い場合があり、遺産分割に大きく影響してきます。

 

 

 

実際に、相続時に預貯金はほとんどなく相続財産の大半を占めるのは自宅などの不動産であることが多いと言われています。不動産評価でのトラブルは多いようです。相続人全員が合意するならどのような評価方法でも問題ありません。 不動産は特に慎重に評価しなくてはなりません。 

 

 

 

 

評価するときは、建物と土地は別になります。

建物が建っている土地の場合、建物と土地で別々に評価します。

 

 

 

◇建物の相続税評価額

 

建物の評価方法は、固定資産税評価額 × 1.0 で評価します。

 

 

   固定資産税評価額というのは、固定資産税の納税通知書で確認することができます。

   納税通知書がなかったら、市役所などで固定資産税評価証明書を取得して確認します。

 

 

 

 

◇土地の相続税評価額

土地の評価方法には2通りあります。

 

 

【1】路線価方式

  路線価は土地の相続税計算の基礎で、毎年7月に国税庁から公表されます。

  通常は 地価公示価格 の8割程度になります。

 

   ※地価公示価格

      国交省が毎年1月1日時点での標準値の正常な価格を決め、3月に公示します。

      インターネットで検索することができます。

 

 

 

郊外の農村集落地域では路線価がありません。そういう場合は、次の方式で評価します。

 

 

【2】倍率方式

  固定資産税評価額に一定の倍率(地域によって異なる)を乗じて計算します。

 

   ※固定資産税評価額

      自治体が固定資産税の計算をする目的で使うもの。

      通常は地価公示価格(毎年3月に公表する、1月1日時点での標準値の土地価格)

      の7割程度。

 

    ※一定の倍率

      国税庁より毎年7月に公表される評価倍率表に記載があり、インターネットで

      検索することができます。

 

 

 

 

 

複数の相続人がいる場合、お互いに納得できる評価方法で評価し、相続人全員が納得いく評価額にすることが重要です。相続人全員が合意するならどのような評価方法でも問題ありません。

 

相続する時に預貯金はほとんどなく相続財産の大半を占めるのは自宅などの不動産であることが多いので、不動産評価に起因するトラブルが最も多いと言われています。普段から相続人間で認識のずれがないように確認をしたり、気配りができる間柄になっておくことが相続トラブル回避につながります。

 

 

 

 

 

 

〈5〉相続放棄

遺産評価が終わると、は必ず全て相続し、承継しなければならないというわけではありません。相続放棄という選択もできます。

簡単にいうと、相続人となるのか?ならないのか? を決める手続きことです。

 

 

相続放棄をするのはこのような時です。

 

・相続財産に負債が多い

・実家の土地や建物を相続したくない

・相続問題に巻き込まれるのを回避したい

・事業承継等で、被相続人の財産を特定の相続人に全て承継させたい

 

 

相続放棄をするとその人は初めから相続人ではなかったとみなされます。(民法939条)

 

 

 

 

相続放棄をするメリットは、負債(ローン、借金、滞納金、損害賠償債務、事業に関するもの)がある場合に全て支払う必要がなくなること、遺産分割トラブルに巻き込まれない、保証人などの立場を引き継がないことです。

 

一方 デメリットは、資産承継できないこと、他の相続人とトラブルになる可能性があること、相続のやり直しがきかないこと、遺産を処分してしまうと相続放棄が認められない(お気に入りの家具も持ち出すことはできません)、相続人の相続順位が変わるためトラブルになる可能性も考えられます。

 

 

 

 

ここで最も重要なのは、期限です。相続放棄には期限があります。 

 

 

相続放棄というのは、相続開始を知った日から 3か月以内に家庭裁判所に相続放棄申述書を提出する必要があります。(民法938条)死亡当日に知った場合は、死亡した翌日から起算して 3か月後である日が相続放棄の期限です。

 

 

相続放棄をすると決めて家庭裁判所へ申述書を提出するまでが、3か月以内です。この期限を超えたら、借金もすべて一緒に相続することになってしまいます。忙しかった、期限があることを知らなかった、勘違いしていたということは一切認められません。

 

 

 

 

この続きは次のブログでご紹介します。

 

 

 

 

 

まとめ

今回のブログでは、相続の手続きに向けた準備について説明しました。

 

 

ここまでで重要なのは、相続放棄をする場合、死亡した翌日から起算して 3か月後である日、または相続開始を知った日から 3か月以内相続放棄の申述書を提出しなければ全ての財産を相続することになってしまいます。

 

ですから、仏教でいう四十九日法要のとき(他宗教の場合はこの前後あたり)に相続人が集まる機会に合わせて準備しておくケースが多いようです。

 

 

 

また、遺言は大切な財産を有意義に活用してもらうために行う被相続人の意思表示です。相続人にとって、遺言書に書いてある内容は良いことばかりとは限りませんが、しっかりと見極め、短い期間で判断することで相続手続きをスムーズに進めることができます。

 

 


最後に

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この記事を書いた人

Hitomi Ishikawa

 

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  • 二級建築士
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